すべての群れの客である

大地から5センチくらい浮きながら文章を書くよ!

電波のどこかに私の夢が

人の夢の話ほどつまらんものはないだろう。いまから私は夢の話をする。 自分が夜に夢を見ていると気がついたのがいつだったかは覚えていないが、割と幼少期から夢の話をしていた気がするので、もともと眠りが浅いのかもしれない。夢を覚えているのは眠りが浅…

有る程の菊投げ入れよ

その日のバイトは遅番で、私は昼飯を食べたばかりなのにたどり着いたなり腹が減った気がして、会議机においてあるお菓子を食べようと狙っていた。 「俳句は短すぎますよ」 誰かがFAXを手にそう言っていた。なるほど、と思いながら私は海老せんと思われるもの…

あかるい水影こうかん殺人

殺してしまえるのなら殺してしまいたいと言われたので、殺してくれるのならば殺されてもいいと答えたら本当に殺されてしまった。十六歳か十七歳の夏。死んでいるのでそれからどうなったかは知らない。わたしは沢山のことを忘れている。 はじめて訪れた高校の…

2020年夏休みの思い出

中学は部活で高校も一年目は部活で、あとの二年はバイトで、それからの日々もバイトやら鬱やらで私は夏休みにちゃんとした休みがあった記憶が小学生以来ない。でも夏になると最高になる。夏は生き物がたくさんいて人間ひとりの愚かさなんて関係ないじゃん!…

日々の群れ

それが営みとして正しかったのかどうか分からないが私には生活があった。今もあるし、生きていれば明日もあるだろう。生存していれば生活が続く。どんなときでも、どんな日々にも。 ときどき人間を愛していると思うことがある。 しかしそいうとき、私は自分…

香川には四国村があるよ

瀬戸内の陽光のお話 大島渚さんが『KYOTO, MY MOTHER'S PLACE』というドキュメンタリー映画で瀬戸内にいた頃のことを「王子様みたいに幸せだった」と語っていて、そのことがずっと印象に残っている。私にとっても香川という土地はまったく貴族的幸福の象徴の…

すべての仕事は売春である

私は一度入水をしようとして制服のまま海に入り、振り返った時におじいさんが犬を散歩させているのを見て陸に戻ったことがある。 本当に死ぬつもりだったのか、という点については昔も今も大変懐疑的なのだけれど(なにしろ私は基本的に生きることが好きだっ…

『熊本くんの本棚』書籍版を読んだよ

どやってトップ画を自分で撮ってみたけれど、サイズを間違えて妙な具合になってしまったよ。こんばんわ。みんな元気かな? 元気だといいな。 さて、先日カクヨムコン4のキャラクター文芸の大賞を取ったキタハラさんの『熊本くんの本棚』が発売されたよ。買っ…

『象は静かに座っている』を見たよ。

見たくて見に行って見た。なんでそんな当たり前のことを文章にしたかというと、なんだかそれが重要なことのように思ったから。 見たくて見に行って見た。 『悲情城市』がめっちゃ良かった、と話したら職場の映画人が、じゃあこれを見に行ってみては? と勧め…

私の大好きな百合漫画を紹介するよ!

はじめに 今日がいつなのかいつまでも覚えられないのでいつのことか忘れてしまったが、きっと去年のいつごろか、私はある記事を読んだ。 https://www.hayakawabooks.com/n/n0b70a085dfe0 そうして気が付いた。私は百合が好きなのだと。正しく言えば、百合が…

『Diner ダイナー』を見たよ。

見た。見たんだ。 どれくらい軽い気持ちで見に行ったかというと、入谷の朝顔市に友人と行って、なんかお洒落な小さい映画館でなんかお洒落な映画を見たいねぇ、という話をしていて気が付いたらTOHOシネマズにいた。くらいの気軽さだ。席が空いてなかった…

ぬすっとの名前を忘れない

#ヨーグルトのある食卓 私の住んでいる地域の子供は、遠足で同じ山に少なくとも三回は登る。小学校の時に二回、中学校の時に一回。一度目は手前の山のてっぺんまでで、二、三度目はその向こう側の山まで登る。これは同じルートである。意味がわからない。 そ…

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』を見たよ。

大分前に書いていたものを途中にしてあった。以下途中まで少し前に書いたもの。 今日も映画の時間を間違えて覚えていた。その前もその前も間違えて覚えていたのだ。でも、一体どの部分で間違えるのだろう。 そもそも見間違えているのか、見たものを体に取り…

私は嵐になりたい少年だった

少年という言葉には本来男女の区別がないのだと知ったとき、私は確かにまだ少年だった。 実際、自分が少年であることに疑いを持ったことがなかった。ただの年若き人間であって、女の子なのにチャンバラが好きなのは変だとか、女の子は赤いランドセルを背負わ…

『君の名前で僕を呼んで』を見たよ。

ほとんど一度も心の動きが分からなかった。こんな映画は初めて見たような気がする。 これは一体どういうことなのだろうか。もしかしたら体調のせいかもしれない。感情移入が主食の人間なので、ちょっとびっくりしたのである。 本と映画とパンのお店(本と映…

『空ばかり見ていた』【もぐもぐ篇】

ずっと咀嚼している。 岩松さんの書く物は難解だと言われているということを最近知って、知った瞬間に確かに「難解」かもー! と思い、その概念を借りパクしてもう血と肉になりました。それまで好きだということ以外なにも考えたことがなかったんですが。 そ…

『空ばかり見ていた』を観てきたよ。【愛してる篇】

突然ですが、私は17歳の冬に部室の中で物心がつきました。 どうか詩的な表現だと思わないで欲しいのだけれど、この物言いだとなかなか難しいかもしれない。でも実際そうだったから。 いや、実際には、というより本当は、あれは16歳の冬のことだったのだ…

『悲情城市』をみたよ。

フォレストガンプしか映画を知らなかった。 もちろん、これは漢詩的誇張である。と言ってもせいぜい5を1にするくらいの逆誇張で、100や200も大げさに表しているわけではない。 つまり、私が今まで自覚的に見てきた映画というのは『フォレストガンプ』と『式…