すべての群れの客である

大地から5センチくらい浮きながら文章を書くよ!

日々の群れ

 それが営みとして正しかったのかどうか分からないが私には生活があった。今もあるし、生きていれば明日もあるだろう。生存していれば生活が続く。どんなときでも、どんな日々にも。

 ときどき人間を愛していると思うことがある。

 しかしそいうとき、私は自分を人間とは思っていないのだ。なにかその営みから外れた、脱落した、一種の化け物のような気持ちで、遠くから人間を愛している。人間に生活があり、その営みを、心からあたたかく感じるのだ。

 人間はときどき私を強く非難し、蹴り飛ばし、隅の方へ追いやったがしかし、それでも人間は、そんな時でも私の目には美しく映ったのだ。人間は、自我を凶暴に振りまいて生きている。これだけの人間が生きていて、幾多数多の自我がめぐり逢い、かち合って、その上まだ正常を保って生きているということは、私をたびたび感動させた。

 人間がそれでもまだ正常に生きていることに。その生活に。

 彼らには生活がある。たとえば、朝起きてコップに牛乳を注ぐ。家に帰ったとき、下駄箱のちいさな入れ物の中に鍵をいれる。トマトのヘタを取る。指先の小さな傷に消毒液をかける。花の名前を知っている。その生活を目の当たりにすると、祈りたくなる。

 私は人間に対する信仰心があるのだ。

 人間は他者の営みに正誤をつける。私の生活やこれまでの日々、そうして人格はほとんどいつも過ちとみなされる。彼らは過ちを嫌う。過ちを嫌う彼らを私はまた愛おしく思う。隅にいて、化け物として、心から。人間を愛していると思う。

 人間を愛していることは、罪深いとも思う。でも愛している。



 そんなことを思っていた。
 コーポ・ア・コーポの単行本を手に入れて読んだのだ。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%9D%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%9D-1-MeDu-COMICS-%E5%B2%A9%E6%B5%AA%E3%82%8C%E3%82%93%E3%81%98/dp/4823600398/ref=tmm_other_meta_binding_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=

 正直言って買って欲しい。
 私はもとより岩浪さん本人が好きなのだが、岩浪さんの描く漫画がすごく好きなのだ。ということを改めて思った。

 化け物は化け物に優しいのだ。化け物は化け物の生活にあまり興味がないのかもしれない。過度な期待をしないし、寄り添いもしないが、排除もしない。同じ隅にいるということを確認したら、ただ過ごす。暮らす。

 正規の営みから外れても、どんなに自分を化け物に見立てても、実際に私たちは本当は人間なのだ。同じ生き物で、同じ生き物なのに排除され、そうして私たちにも当然、生活がある。

 正誤で言えば過ちとされる日々があり、その群れの中で生きている。やはり、どうしたって、これらの生活も美しいのだ。だって、われわれは人間なのだから。自我があり、生きていて、日々を過ごしている。たとえば、ある日、隣人が首を吊る。隣人の部屋から冷蔵庫を持ち出す。その冷蔵庫から、畳に水が落ちる。

 人間は生活を続けている。生存している限り、生活は続く。

 そういうことを思ったのでした。あれ、これいうの二回目だな。とにもかくにも『コーポ・ア・コーポ』試し読みもあるのでぜひ読んでください。

http://www.comic-medu.com/wk/corpoacorpo

 ダイレクトマーケティング。売れてほしい。
 ちなみに漫画の中に私の名前も出てるので、実質これは私のデビュー作と言ってもよいでしょう。私の小説を読んでくれて面白いって言ってくれて、宣伝してくれたんだよ。とても、優しくて、涙が出る。どこに出てるか探してね。単行本に入っているよ。おまけも入っていてとても可愛い。ほんとうに、心底ユリちゃんがかわいい。あとたばこおばさんと中条さんの関係がすごくよい。読んだ人にしか分からない話をしてごめんね。

 というわけなので、ダイレクトマーケティングでした。またダイレクトマーケティングをしたい。売れてほしいものたくさんある。みんな成功してほしい。

 そんな感じでこのへんでネタをさげさせていただきます。本日もお読みいただきありがとうございました! また会います!