すべての群れの客である

大地から5センチくらい浮きながら文章を書くよ!

GOTO豪遊物語 続ふつかめ(星の王子さまと温泉)

 

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立て続けに冒頭にこんなことを言うのもあれなんだけれども、もうだいぶ本当に忘れているのである。

とても今月のはじめの出来事とは思えない。では体感的にどれくらい前の出来事だと思っているのか、と聞かれるとそれはそれでちょっとよくわからない。いつもさっき食べご飯のことを思い出せないので、やっぱりこのGOTOは今月のはじめにあった出来事なのかもしれない。

あと、GOTOじゃなくてもしかしてGoToですか? それともgoto?

どっちでもいっか!!!

富士屋ホテルを離れ

大変に離れがたい。あまりに離れがたいので、これからどこかへ繰り出そうというのに富士屋ホテルのパン屋さんでパンをもりもり買った。人間がたくさんいた。

ポーラ美術館が無理なので、星の王子さまに会いに行こうということになった。昔から王子さまには会いたかった。なぜなら王子さまが好きだからだ。

なぜなら王子さまには象が出てくる。

私はかつて長い長い暗黒期の中盤で「いや辛いすぎないかこれは? 人生はよお!!!」と思い、二個下の人生の師匠からの「好きな動物をつくり、店でその動物を見つけたら全部買うと今よりはもう少しましな人生になる」との啓示をうけ、そうか、と深く感銘を受け、象を信仰することにした。

諸君。象はけっこういる。

象基準で生きたことのない人はちょっと実感しづらいかもしれないけれど、象、すごくいます。そうして私はいつの間にかあらゆる存在のうちの象的なものに過敏に反応するようになり、つまり、なんの話かというと『星の王子さま』にはウワバミに飲み込まれた象がいる。

これは象ポイントがだいぶ高い。ちなみに歴代の中で最高象ポイントを叩き出したのは、師匠がどっかの雑貨で見つけた象の上に象が乗っていてその象の上にまた象が乗っていて一番上の象がパーティー帽子をかぶっているクリアファイルだ。

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だいぶ人生が楽になる。

話がそれましたが完全にそれましたが、まぁ象を抜きにしても星の王子さまは素敵なので、大好きなので、これから王子さまに会えるのかと思うと嬉しくて仕方なかった、私は、そのときは。

みなさんジャーキングって知ってます?

あの、授業中とか電車の中で眠りしなにびくって体が動くやつのことらしいんですけれども。私はコーヒーを飲んだ夜と、酔どめを飲んだ夜にこのジャーキングが右手だけに現れ、勝手に壁を叩くので目が覚めてしまい「ひーーん!!」ってなる悲しい習性があるのですが。検証してないので本当にコーヒーと酔止めのせいかはわかりません。

なにが言いたいかっていうと、死ぬほど酔うのに酔いどめを飲むと死んじゃうから酔どめを飲めないんですね。でも本当に死ぬほど酔ってしまうので、調子がいいときには鈍行の電車で一歩も動けなくなるくらい酔ってしまうので、箱根の山道とかはもう、なんだろう、死を越えた何かなのね。

乗ったバスがエヴァ仕様でミサトさんがはげましてくれなかったらどうなってたかわからなかった。

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確かこのバスだったように思う。

正直、吐き気につぐ吐き気と冷や汗と異国の言葉たちが耳のそばでミャンミャンみゃんみゃん鳴るのとでめまいもあったし、ずっと「だから箱根はいやんだよ!」と今までの思い出をすべてかなぐり捨てて激情にかられていた。もうだめだ、吐く、となったけれど私は嘔吐恐怖症なので吐けはしないのだった。

外に出ると友人がベンチに私をいざない、ゆっくりとそこへ腰をおろした私は「ああ――」と言ったきり喋らなくなったとさ。

 

【おわり】

 

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気がつくと横に王子さまがいた

どれくらいそうしていたか分からなかったが、友人がGOTO的な券をどうかこうかしてくれている間、なにか鳥の声がするような気がする、と私は顔を上げた。そうしてそこが「星の王子さまミュージアム」だということに気がついた。

空気がつめたく、私はにわかに高揚した。
王子さま、王子さまだ。
ただそれだけを10回くらい思った。

スタンプラリーの用紙をもらって中に入った。スタンプラリーの用紙をくれる施設に悪い施設はひとつもない。勝ち確だ。我々はもう確変に入っている。

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こんにちは王子さま!!!!

なんて最高なんだ! 今さっきのことのように興奮してしまう。
なんていうんですか、こういう、施設の中に違う国とか違う時代とかを再現されてあるのがもう本当に三度の飯くらい好きなんですよ。つまりナンジャタウンの話をしていますけれども。

それ以前にも何度か東京に行ったことはあるが、あのときの早朝の東京、いや、池袋は私の一生に一度のはじめての東京だと今でも思う。生まれてはじめてくらいに東京に行った。
二個下の師匠と一緒に近所の十字路に朝4時半に集合して、私たちは池袋に向かったのだ。そう。くり~むしちゅ~の初主演映画の舞台挨拶を見に――!

とこれは別の話だったので今はやめる。私がどれだけナンジャタウン的施設を愛しているか少しでも伝われば嬉しい。

さて、イングリッシュガーデン的な? サンテグジュペリはフランスの人だと思うから(隈なく見たのにおぼろげ)おフランスお庭なのかもしれない。

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わかるかよ?

このよさが分かってくれるかよ? ありがてえよな。こんなに素敵な施設を作ってくれてさ、われわれを楽しませてくれる。人生の福利厚生だよな。

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てふてふだっているんだぜ。

てふてふはさ、いいよな。てふてふって響きがいいよ。本当は昔のひとはてふてふって発音してたんでしょ? おぼろげな記憶だけどもよ。いいよな。てふてふってさ。だっててふてふしているもんな。びっくりするほどてふてふしている。

ほがらかな陽気でねー、お花もたくさん元気だったよ。

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よかろう? 迫りくるものがあるよな。

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ぽんぽん。

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ほわほわ。

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冬感。

かなり長い間このガーデンにいた気がする。まだ入り口だというので驚く。角を曲がるとそこここに王子さまがいる。左を向くとパリがある!

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パリではないのかもしれない。サンテグジュペリの育った街なみなのかもしれない。ニアリーイコールパリということでここは一つ。

めっちゃよくない? もう海外いく必要なくない? と思ってしまう。そんなことはないのだろうけれども。私は飛行機にも乗れませんので、各地のこういった外国や昭和をめぐる一生でもいいかと思っているんだいや嘘だそんなことはない海外にも行けるのならば行ってみたい。

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きつね。

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王子さま!

楽しくて気が狂いそうだった。こんなに幸福でいいのかしら、という気持ち。私は王子さまが好きだから、という気持ち。車でなぜかめちゃくちゃしょぼい場所を想像していたので、本当に毎秒驚くばかりだった。

なによりも「星の王子さまミュージアム」の真骨頂は展示だね!

展示がすごい。まじですごい。本当にあの、すごいよ!! みんな見に行こうな。絶対に見に行こう。損が少しもないから! 展示がいいのよ、本当にいいの。

このまま永久に展示がいいという文字だけで文章を進めてもいいのだけれども、具体的なよい場所をネタバレしすぎないようにあげていくとこんな感じ。

・家族写真がすごい
・お家柄がすごい
・幸福な子供部屋(壁紙)
・門にのぼる子どもたち
・弟の死んだ写真
・飛行機と飛行機の人と行方不明者
・タイプライターが怖い
・だんだんかなしい
・絵がうまい
・ずっとすごく絵がうまい
・スタンプラリー

もっとあるけど、そしてほとんど冒頭の家族の紹介ゾーンの紹介だけれども。一番衝撃的だった。特に幼くして死んだ弟の死の写真がすごかった。あまりに美しく死んでいるので撮った、と私の記憶では説明に書かれていたような気がする。

花の中で弟が死んでいるところを写真に撮る兄だよ。最高だよな。

本当にやんごとなきお家柄の方でわくわくした。良家というのは、人にとてもよい感慨を与えるよな。写真がめちゃくちゃ残っているところに実に良家を感じた。

展示は本当に見てくださいとしか言えないな! 充実! こんなに楽しくサンテグジュペリのことを知れるなんて。『夜間飛行』と『人間の大地』を読もう! という気持ちにかなりなった。まだ読んでない。これから読みます。

大興奮に大興奮を重ねたあとにちょっとしたホールで「平成2年に撮ったのか?」みたいな短めドキュメンタリーを見ることができて、それもすごく感慨深かった。ただちょっと、終わりはそれでいいのか? あまりにも唐突に悲しくないか? まぁ、人生だものな、というようなことを思った。

ホールを出ると頭上に王子さまがたくさんいる。

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さて、間違いなく昼飯の時間である。というかもう3時半である。なぜならわれわれは11時にチェックアウトしたから。

とてつもない飢餓感に襲われながら、園内のおしゃれご飯やさんに入った。GOTO的な券が使えるのかと思って入ったのだけれども使えなかった。

かわいい象を飲み込んだウワバミ型の何か食べ物があって、よしそれにしようと思って頼んだ。

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いつもお姉さんが注文を取りにきた瞬間に注文を変えてしまう。

変えてしまうというか、決まってないんだよね。店員さん来たら決まるから、という気持ちで店員さんを読んで、まぁ全然決まってないので変なもの頼んでしまう。決まっていても優柔が不断して「こっちのがよかったかなー!」って頼む前に後悔がよぎって違うの頼んじゃう。

結果、今回は大成功だった!

というかここは何を頼んでも成功だったと思う。めちゃくちゃにおいしかったもの。なんか、えーっとなんでしたかっけ、リエム風? 違うな、リコリン風? 絶対に違う。

リヨン風! リヨン風です調べましたからあってます。白身魚のなんかリヨン風。このね白身魚の回りにぽたぽたしたじゃがいものマッシュが敷き詰められていてマジうまい。あとなんといってもパンがうまい。なんなのかな。パンって、どうしてこんなに美味しいのかな。かたいパン。みっしりしていて、ちょぼちょぼ食べてもすぐになくなってしまう。これはパンの説明ではなく食べ物全般の説明だな。食べるとなくなってしまうところが食べ物の長所であり短所だよね。

GOTO券が使えないと分かっていたのに調子に乗ってご飯の後にホットチョコレートを頼んだよ。

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本当はもっと可愛いかったんだけども、星がいろんな色をして可愛かったのだけれども。

というより、はちゃめちゃに中が寒かったんですよね。感染症対策ばっちり、ほぼ外!
私はヒートテックにとっくり風のセーター(とっくりだと苦しくて一歩もうごけなくなる)とユニクロのウルトラライトダウンにモッズコートを来ていたんですが、一枚も脱げませんでしたよね。なんならずっと震えてましたしね。

でも店員さんがTシャツで働いていたので私お得意の寒がりのせいかもしれない。本当か? あんなに寒いのにか? 私の家くらい寒かったと思う。じっとしてられなかったのでものすごく貧乏ゆすりをしてしまった。ごめんな。

ホットココアでは寒さがしのげず、とりあえず動こうと外へでた。

目下の問題は、どこでGOTO的な券を使うのか、ということだった。お昼ごはんに使えなかったので、私たちは各自3000円のGOTO券がまだ余っていた。二人で1万5千円くらいくれたのかな? すごいよね。GOTO。

で、もう計算とかできないので、星の王子さまミュージアムで使い切ろう、ということになり、ミュージアムショップで迷いに迷ってウワバミに飲み込まれた象、もしくは象を飲み込んだウワバミキーホルダーとハンカチをGOTO券でゲットした。

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上のシールは熱海のなんでもない文具店でゲットしたものだ。本当になんでもない。いいシールだ。

ウワバミの中から象が出てくる素敵仕様だ。
実はわたしはこの形状のキーホルダーを所持していたことがあり、二個下の師匠がくれたものだったのだけれど、どこにでも連れ回していた結果私の手汗によりカビでしまっていたのだった。今回は綺麗に所持したい。いつでも、そういう気持ちがある。

さて、そろそろ豪遊も終わりに近づいている。なぜなら我々はチェックインが11時だったので3時半にご飯を食べ、ショップをぐるぐる回っていたからだ。もう、日が落ちかけていた。

魔法の白い錠剤をドーピングをしてバスに乗り込み、我々は箱根湯本まで降りた。途中でバスの運転手さんが「渋滞でもうだめだわ。急いでるなら電車のったらいんじゃない?」ってアナウンスしてくれたので、よくわからない場所で降りて登山電車に乗った。

これがスイッチバックか。と何度も思うよな。

さて、天山に行こうということになった。天山というのは、みなさんが知っているくらいの知名度があるかどうかわからんのだけれども、箱根にある温泉、というか温泉施設? どっちも同じか、まぁそんなようなもので、わりと有名だと私は思っている。

ナチュラルヤンキーであるところの私の友達たちは車に乗ると平塚のドンキか箱根の峠攻めが御殿場のアウトレットしか行かないので、峠を攻めたあとには温泉でも行こうか、ということになり行ったりなどしたのかな? 暗黒期だったので記憶があいまいである。

で、箱根湯本からバスがあるという情報を頼りにバスのりばに行ったらバスがもうなかった。これがコロナ禍か、と思った。でも箱根にはタクシーがめちゃくちゃいるので問題ないぜ! なぜなら今回の度は豪遊だから! タクシーに乗ってもよいのである。

これがこの旅のクライマックスなのですけれども。

そのタクシーがマフィアにでも追われてんのか!?ってくらいタクシーがスピードを出すのである。もうあの、なに、漫画みたい。ききーってなって我々は、右側にずるーん!頭ぶつけて、ききーってなって左側にころがって、マジでしぬんかと思った。

なんでかな。だって、ぜんぜん、そんな道じゃないのよ。二車線じゃないだろ絶対、っていうような二車線なんですよ。裏道だし! ベビーカー引いてるお母さんたちの横をあんなスピードで走ったらさ、端的に行って危ないよ! ドーピングしてなかったら私どうなってかわからん。ドーピングしてるのに降りてからしばらくめまいで歩けなかったからね。

でもものすごく怖いから、運転手さんめちゃくちゃ朗らかで、お金払うときに「いいねー今日みたいな日は温泉だよね~」とかにこにこしてて、あ、マジで誰かに追われていたのかもしれない、と思いましたよね。ものすごい奴らに追われてて危険だったところをこのおじさんのドラテクでなんとかなったのかもしれないなって。そう思わないと精神が持たなかった。

おじさんはものすごいスピードを出して去っていった。

温泉はとてもよかった。箱根の温泉なんてもんはいいに決まっているので今更私がなんかかんか言う必要はなかろう。温泉はよい。

温泉に入る準備を二人ともしてこなかったので、タオルとかなかったんだけれど、友人が美容室のお兄さんにもらった店の何周年とかで作ったてぬぐいをビリーッて縦に切り裂いてくれて、それをもって風呂に入った。

GOTO豪遊の終わりを感じ、とても寂しかった。温泉はいつもかなしい気持ちがあるね。切ないというかなんというか。大勢で来ても露天に入るとうわ、一人じゃん、と思ってしまう。自然の効果かな?

そんな感じでしんみりとして、帰りはなにで返ったんでしょうか。少しも思い出せませんが、いまは家にいるので返ってきたことだけは確かです。

GOTOについてはいろいろと賛否あると思いますが、県内に金を落とすくらいはしないといけないのではないかという気持ちもあり、本当はただただ富士屋ホテルに泊まりたかっただけなので申し訳ない気持ちもある。でもね、やっぱり旅行はたのしいよね!

ではそんな感じでGOTO豪遊物語はこれにておしまい。また近々なにかをあげたいと思っております。またねー!

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追伸
さぼてんに花が咲きました。うまく撮れませんでした。